たけのこ実験3
同じ竹林で育った「たけのこ」のセシウム濃度を比べたいと思います。
比較するのは、並んで育ったたけのこA・Bと、実験1で測ったたけのこCの3種類(いずれも横浜市内産)。
同じくらいの値でしょうか? 全く違うでしょうか?
たけのこA:直径18cm、長さ35cm
たけのこB:直径16cm、長さ30cm
たけのこC:直径10cm前後、長さ15cm前後の小ぶりなたけのこを集めたもの
【MEMO】
枯れ笹の上に線量計を直置きにして測ると、0.07~0.073でした。
たけのこA
皮を剥き下処理をすると、重さは2338gでした。測定には約1000g必要なので、約1/2を使います。
上下の部位によってセシウム濃度に偏りがある(実験2より)ので、縦に半分に切り分け、フードプロセッサーにかけ、ボールに入れてよく混ぜます。
マリネリ容器にぎゅーと、隙間なく詰めます。
たけのこAは、1034gになりました。
たけのこB
同様に、皮を剥き下処理をしました。重さは、1680g。3/4弱を使います。
同じく、セシウム濃度が均一になるように縦に切り分けました。フードプロセッサーにかけ、ボールに入れてよく混ぜます。
マリネリ容器にぎゅーと、隙間なく詰めます。
たけのこBは、1008gになりました。
たけのこC
実験1のたけのこ(生)です。7つのたけのこを縦に半分に切って使いました。重さは、946gでした。
AT1320Aにセットして、測ります。結果は…
*測定結果*
測定NO. | 比較検体 | 測定時間 (秒) | 重量 (g) | ヨウ素131 (Bq/kg) | セシウム137 (Bq/kg) | セシウム134 (Bq/kg) | セシウム合計 (Bq/kg) |
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I-0420-6 | たけのこA(生) | 3600 | 1034 | 0 | 6.04±2.11 | 4.49±1.71 | 10.5±2.72 |
I-0423-4 | たけのこB(生) | 3600 | 1008 | 0 | 10.3±2.81 | 4.94±1.79 | 15.2±3.32 |
I-0413-2 | たけのこC(生) | 3600 | 946 | 0 | 14.2±3.6 | 12.9±3.1 | 27.1±4.75 |
*結果コメント*
I-0420-6のセシウム134の濃度が、相対誤差38%と若干高めですが、その他の数値は概ね有意と考えてよいでしょう。
検体数が3つと少ないために、この結果からなんらかの傾向を見出すことは極めて難しいですが、ひとつだけ明らかに言えることは、『同じ竹林の中に生えているたけのこでも、含まれる放射性セシウム濃度には結構なばらつきがあるんだな』ということです。
「ここで採れたたけのこがどうしても食べたい!」と思ったときに、1個だけ測って数値を見れば大丈夫かというと、そうも言えないようです。これは、福島県の調査で、同一地域の隣り合った田んぼから採れたコメであってもセシウム量に大きなばらつきがあったという結果に似ています。
今回の3検体の結果を見てみても、総セシウム濃度で最小値が 10.5、最大値で 27.1 と、その誤差を考えても3倍近い開きがあります。
土壌から放射性セシウムを吸っていると考えますと、おそらくはそのたけのこが生えてきた根がある付近の土壌の汚染状況の差異が、たけのこに含まれる放射性セシウム濃度の差となって表れてきていると考えられます。
また、これも検体数が各サイズ1つしかないので偶然なのかもしれないのですが、たけのこの大きさ(長さ)と含まれる放射性セシウム濃度には、ひょっとして相関があるのかもよ? という可能性を示唆した結果となっています。
たけのこの長さを確認してみますと、A:35cm、B:30cm、C:15cm です。
_放射性セシウム濃度もこの順番で、A < B < C です。特に短いCは、検出された放射性セシウム濃度がダントツに濃いです。
同一地域に生えているたけのこの放射性セシウム汚染状況を知ろうと思った際には、大きなたけのこと小さなたけのこ(いずれも地表に出ている長さは同じぐらいのもの)の2検体を採取して測定し、検出された放射性セシウムの濃度差を見てみるというのもひとつの方法でしょう。
繰り返しになりますが、なにぶんにも検体数が各サイズ1つしかないのでたんなる偶然の可能性も高いです。来年は、これらの可能性をも考慮に入れて再度実験計画を立てたいと考えています。
今回の実験では、検体数が少なくあまりはっきりした傾向を見出すことはできませんでした。
来年は、サンプル数をもっと増やして、なんらか有意な傾向を見いだせるようなデータを集めたいと思います。